とびだせどうぶつの森 QRコード置き場

ここにはおもに『とびだせどうぶつの森』、『GirlsMode4』でネオジオキャラになりきるためのマイデザイン用QRコードやコーディネイト案、それにSNK関連の二次創作テキストなどを置いています。髪型や髪色、瞳の色については『とびだせどうぶつの森』の攻略Wikiを参照してください。

『餓狼伝説 StrayDog,StrayWolf』

 今からもう10年以上も前(おそらく2007年頃)、SNKプレイモアのケータイサイトで連載していたいわゆるケータイ小説で、ベースにしているのは『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』。現在はケータイサイト自体がサービスが終了しており、アーカイブもないので読むことはできないのだが、確か全27話構成で毎週更新だったように記憶している。

  2006年には家庭用で『KOF11』と『MI2』、2007年には『MIA』、2008年には『KOF’98UM』に『サムスピ閃』と、今では考えられないほどのペースで次々に新作がリリースされていたこの時期、なぜ『KOF』でも『サムスピ』でもなく『餓狼』、それも『リアスペ』のノベライズをやったのかと尋ねられれば、それは単に自分の中に書きたい欲があったから、としかいいようがない。

 この時点よりさらにさかのぼること10年前の1997年、ぼくが『KOF’96』で初めてSNK作品のノベライズをやった直後くらいに、「次は『リアスペ』のノベライズをやりたい」と編集部を通じてSNKに打診したことがある。しかし、返ってきた答えは「『餓狼』はやってもいいけど深掘りはNG」。このケータイ小説のストーリーの骨子は、その時に用意していたものなのである。
 当時のSNKが『餓狼』のノベライズに制限をつけてきたのは、すでにその頃、講談社と組んで、『餓狼伝説正伝』と銘打った公式ストーリーを、コミックなのか小説なのかは知らないが、とにかく大々的に展開しようという計画があったためらしい。これ以前に、ゲーメストZ文庫で『餓狼3』のノベライズを打診して断られたのも、おそらくその流れだったのだと思う。要するに、これから公式が各キャラをあらためて描いていくので、その前にあまり妙なものは書かないでほしい、というのがSNKの意向だったのだろう。
 ぼくとしては、SNKみずからがゲーム以外で公式のストーリーを語ってくれるのならそれを見守ろうと考え、企画を取り下げた。ちなみにその際SNKとやり取りした中に、「リリィはパン屋ではたらいている」という設定があったため、あとあとまで使わせてもらっている。
 その後、それらしい作品群がついぞ出てこなかったところを見ると、結果的に『餓狼伝説正伝』は実現しなかったのだろう。それはそれで残念なのだが、それ以上に物書きとして歯がゆいのは、途中まで考えた話を吐き出す場がないことである。つまり、ぼくが作ったプロットのことである。

 そして10年後、死蔵されていたプロットの一部は、『MI2』のテリーvsビリーのイベントシナリオとしてようやく世に出ることになった。『MI』はギースが死んだあとのサウスタウンを舞台にしており、その続編にビリーが出ると決まった時からここに活用しようと考えていたのである。動画勢には何かとネタにされることの多い橋本テリーvs山西ビリーのやり取りだが、ぼくにとっては、どうにかビリーを救おうとしてついつい熱くなってしまったテリーと、それが何となく判ってしまうがゆえに余計かたくなに救済をこばむビリーの対話は、京vs庵に負けないくらいにカッコよく、強く印象に残っている。
 ただその一方で、ギースを失ったビリーの傷心やリリィとの暮らしをめぐる葛藤、テリーとの関係性などを描くのが、いわば彼らにとってはお出かけ先ともいえる『KOF』シリーズでよかったのか、という思いもなくはなかった。そんな時、携帯サイトで何か小説をという話があり、すぐさま「『リアスペ』ですけどやらせてください!」と速攻で仕事に取りかかった。

 ただ、冷静に考えてみれば当たり前なのだが、1997年にはまだ『MOW』が存在しておらず、『3』のEDに登場したあの少年がのちにロック・ハワードとしてあそこまで存在感を増すとは判っていなかった。そのため、ぼくがあの当時書いたプロットにも、キャップの少年=ロックは登場していない。しかし、『MOW』リリース後の2007年に執筆するのならロックを無視するわけにもいかないので、そのあたりを修正しつつ、ギースの死後のテリーの生き方と絡めて、文庫1冊分ほどの量に収めた。
 ぼくがノベライズをする時には往々にしてあることだが、展開の都合上、割を食うキャラがたびたび出てくる。この作品でいえばまずボブ、そしてアンディである。出番自体まったくなかった一部のキャラよりましとはいえ、申し訳ないことをしたと思う。その代わり、ジョーがやたらカッコいいポジションにいるのは、『KOF』で濃くなったイロモノ感を少しでも薄めようとした結果である。