二次小説
黒と赤。 近代文明から隔絶された漆黒の夜の闇と、あざやかな炎、あるいは鮮血。「……!」 異変に気づいて母屋へとやってきたシャオロンは、夜の闇の黒さを背負って真っ赤に燃えさかる炎を目の当たりにし、束の間息を止めた。 赤と黒の世界の中で、無数の骸が…
2016年の6月6日、アルバとソワレの誕生日に合わせて書いた作品。無理矢理『MI』シリーズの時間軸に押し込めるとすれば、ソワレがまだ拉致されておらず、なおかつすでに京と面識があるということで、『1』と『2』の間ということになる。あるいはすべてに…
六月六日――。 その日、ランチタイムには少し遅い時間に『カサブランカ』に現れたソワレ・メイラは、入り口のドアを開けて顔だけを覗かせ、店内の様子をそっと窺った。「……何をしてるんだ、ソワレ?」 モップを持って店の床を磨いていたギャラガーが、挙動不…
毎度おなじみ、ラルフ&怒チーム。ベースになっているのは『12』のファイターズプロファイル用に考えたネタだったが、怒チームの3人はおたがいに連動したストーリーにしようと考え、結果的に没にした。ラルフが偽名として名乗っているテリー・ロジャースと…
シャワーの音がやんだ。 使い込まれたソファの端に腰を降ろしていたレオナは、ふと顔を上げ、バスルームに通じるドアを見つめた。 部屋の中に満ちる空気は、義父の部屋の匂いに似ているようで、やはりどこか違う。ここの空気のほうが少しだけ火薬臭いように…
女性格闘家チーム――というよりキングのエピソード。スタッフロールで「BATTLE MESSAGE WRITER」と表記されているように、ぼくが『KOF13』でお手伝いさせていただいたのは、各キャラの対戦前の掛け合いや勝利メッセージなどが中心で、メインストーリーにはノ…
優勝決定戦直後の興奮冷めやらぬ超満員のスタジアムに、色あざやかな紙吹雪が舞い散っている。モニターを通して見るかぎり、誰も席を立って帰ろうとはしていない。観客たちの歓声は今もやむことなく、このミックスゾーンにまで届いていた。間もなくおこなわ…
もともとは、『幕末浪漫第二幕 月華の剣士 月に咲く華、散りゆく花』のノベライズのために書いたもの。というと商業用の原稿のように聞こえるが、実際には、ノベライズの企画が通るだろうと勝手に決めつけて書き始めたものの、編集部から「無理です。やっぱ…
アメリカ駐日総領事ハリスと幕府との間に締結された日米修好通商条約により、日本は、下田、函館に続いて、新たにこの兵庫をはじめとした七つの港を国外へ向けて開放することとなった。 安政五年――西暦一八五八年というから、今から六年ほど前のことである。…